INTERVIEW WITH TAICHI SAOTOME
――お二人が出会ったきっかけは?
早乙女太一(以下早乙女) :共通の知人に誘ってもらって伺ったのが望援さんの経営しているバーだったんです。
陵本望援(以下陵本) :私が当時経営していたバーに来てくれたのがきっかけ。でもその前に私はLDHが主催のコンサート「ハイ&ロウ ザ ライブ」にEXILEのナオトくんに誘ってもらって、その舞台に出てきて凄い殺陣を披露した役者を観て「あれ、誰っ?誰っ??」ってなってて。そしたら、スクリーンに「早乙女太一」って名前が出てきて。「早乙女太一、マジでやばいなっ」って衝撃を受けたんよ。私、子供の頃からアクション映画が大好きで、今も空手を習ってるくらいやから。それで、その後に共通の知人が私の経営していたバーに太一くんを連れてきてくれて、知り合いになったんよね。
早乙女:それが6年くらい前でしたね。
陵本:その頃、ちょうど私が働いていたブランド「ミハラヤスヒロ」で麻を使った新ブランド「ネハン ミハラ ヤスヒロ」のイメージビデオを作りたくてモデルを探してたんですよ。それで太一に会ってすぐ「悪いんやけど、うちのビデオに出てくれへん?」って頼んだんです。バーに来てすぐにオファーしました(笑)。
早乙女:そうなんですよ。で、それがご縁でその仕事させてもらって、ファッション関係の仕事もそれが初めてでした。
陵本: 実際、私はその撮影現場には同行できなかったんですが、撮影チームから「踊りも、演技も太一くん、本当にすごい!」って大興奮で連絡が来て。出来上がった映像も完成度が高過ぎてな。お寺で撮影したんですが、むちゃくちゃカッコいい映像に仕上がってて。
早乙女: 本当にかっこいい映像になってましたよね。
陵本:その時の撮影チームのメンバーも今となっては、各自すごく有名になっているんですが音楽も映像も踊りも本当に素晴らしく、我々の間では早乙女太一への注目度がさらに上がったんですよ(笑)。それから私が「ミハラ ヤスヒロ」を辞めてから、太一くんが私のことを覚えててくれて連絡くれて。それで今回、モロッコにカーペットを買い付けに行ったときに半分ずつデザインが違う「パッション」という作品を見て、このカーペットは絶対に太一をモデルに撮影したい!と思い、この仕事をオファーしたんです。私の中では、太一は「パッション(情熱)」ってイメージなんです。
――今日のモロッコのカーペットの撮影はいかがでしたか?
早乙女: こういうインテリアの撮影は経験がなかったし、すごく楽しかったです。現場で携わっている方々が本当に臨機応変に創作していく感じがいいなと。そういった現場にいるだけで楽しいし、自分自身、体に血が巡ってくる感覚がありましたね。もちろん、おおよそのイメージは決まっているのですが、超一流のプロが集まって、そこに向かって行くライブ感というか、そういうのも刺激になりました。
陵本: 私はそもそも、太一がすごいのは分かってるから、今日も撮影中にスタッフたちの「すごい!かっこいい!」っていう声を聞きながら、「そやろ、そやろ。私は知ってんねんで」って思ってました。「私は知ってるで」と思いつつ、うれしかったですよ。いい意味で皆を裏切れて。何度も言いますが、本当に太一は素晴らしくて伸びしろもあって、世界に出てって欲しいですね。
――次は太一さんとこんなことを一緒にやってみたいって言うのはありますか?
陵本:そんなん言い出したらキリがないくらいありますけど(笑)。
早乙女:僕に限ったことじゃなくて、望援さんは人のいいところをたくさん見つけてくれるんですよ。 人のいいエネルギーだったり、才能だったり、見抜く力を持っている人。それは人に対してだけでなく、モノに関してもアンテナが張り巡らされている。だから、会うたびに「こういうことやったら面白いと思うよ」みたいな話をしてくれて、僕もその望援さんの話を聞くのがいつも楽しみなんです。
陵本:まだ私、太一の歌は聞いたことないんですけど、絶対に上手いはずなんですよ。それで太一に会った瞬間から彼が歌っているイメージが浮かんできて。しかもそれが、ある有名なバンドメンバーたちと一緒にプレイしているシーンだったんですよ。それで、そのバンドと太一を引き合わせないといかんと閃いて、メンバーにすぐ電話して、実際に会わせたんですよ。それでバンドの子らに「陵本さん、曲ってそんなに簡単にできるもんじゃないんですよ」と言われたんですが(笑)。私は太一とそのバンドのコラボレーションは、構想の一つして今も温めてますよ。太一とぜひ、セッションしてもらいたい。
早乙女:僕もやってみたいと思ってます。そのバンドは以前、僕が出演したドラマの音楽を担当してくださった方々で、ものすごくかっこいい人たちなんです。実際にお会いできてよかった。望援さんは本当にすぐに行動してくれるんですよ。スピード感がものすごい!
陵本:だって、才能あるのにもったいないから。早よ会わさな。最初が肝心なのよ。その時のエネルギーをどんどん取り込んでいかなきゃ。太一はまだまだ可能性ばっかり。韓国映画とかにも出て欲しい。
早乙女:海外へも行けるなら、行ってみたいですね。
陵本:なんかね、変かも知れないけど、太一を見てるとビジョンが浮かんでくるんですよ。誰に対してもビジョンが浮かぶわけじゃないですよ、何も未来が見えてこない人もいっぱいいますから。だって、太一は才能の塊ですから。あれだけ殺陣がうまくて、立ち振る舞いも美しい。会うまでは怖い人かなと思ってたんですが、実際、全然そんなことなくて気さくでええ子で。柔軟性も素晴らしい。この子は行くところまで行きますよ。
早乙女:モロッコのカーペットもそうだし、人もそうですが望援さんは、素晴らしい何かを見つける才能を持った人だと思います。ご本人もどんなことも楽しそうにやっているんですよ。僕は、自分も楽しみながら仕事をするってとても難しいことだと思う。僕も色々な仕事をさせてもらっていますが常に楽しめるってすごいことだし、本当に難しいなと感じてます。そんな中、いつも全力でスピード感を持ち、尚且つ楽しんで仕事している望援さんのような方と一緒に、一つの作品を作るのは、ものすごく感化されます。だから今日の撮影は楽しかったし、とても刺激的でした。
――今後のビジョンをお聞かせください。
早乙女:やりたいことはいっぱいあります。でも一番は、特定の何かを成し遂げるとかではなく、今日のような環境で仕事を続けていくことが理想だと思いました。環境というか人たちですかね。どんな内容でも、形は違っていてもビジョンを共有し、最高の仕上がりを目指す人たちと協力して働くといった環境に身を置けたらいいなと。時間に追われたり、団結力に欠けてしまう現場もあるかと思うけど、極力、そうならないように僕は務めていきたい。一つ一つの現場を大切にしたいなと年々、実感するようになっています。
陵本:今は色々な分野で働いている人たちが交差するべき時代になってると思うのよ。太一は映画や舞台の仕事がメインだけど、ファッション業界の人とも仕事することによって新しい魅力が引き出されるし、もっといいものが作れるようになるはず。垣根を超えて、情熱を持っている人たちが集まって仕事すれば、すごくいいものができると思う。今日の撮影に関して言えば、モロッコの手織りのカーペットはものすごく主張があって、パワーもあるから、軸がしっかりしている人をモデルに選ばないとカーペットの存在感に負けてしまうんです。だから、私は太一のように魂が磨かれている人と撮影をしたいと思ったんよ。
早乙女:今日の撮影の前に偶然、京都で機織りの街を巡る機会があったんです。僕は子供の頃から身近に着物がありましたが実際に手織りされているところは見たことがなくって。初めて手織りの織物の制作過程を拝見し、作り手たちの想いというか、パワーが込められていて、細い糸がまるで血管のように張り巡らされていく光景にものすごく強いエネルギーをもらいました。その後にモロッコの手織りのカーペットの撮影だったので、さっきも話しましたが、今日は体中の血が巡る感覚がありましたね。
陵本:細部までこだわらないとあかんのよ。こだわった空間、撮影の細かいところ、そして皆で食べるランチまでこだわらんといかん。こだわり抜けば抜くほど、ええものしかできひん。でも皆、時間がないとか予算がないとか言ってこだわりを捨てるから、仕上がったものが薄まってしまって、美味しくなるなるんよ。一見無駄に見えて、絶対に無駄なんかじゃいって私は思ってる。「カーペットの撮影なんて」っていう人もいるけど、その出来上がった素晴らしいビジュアルが可能性をどんどん広げてくれるんよ。それは、とても大切なことだから。あとな、私は太一が歌うの諦めてないから。もしかしたら、モロッコのカーペットの前で歌ってもらうことになるかも知れんし。そのときは、私がコーディネートするよ(笑)。